営業動向調査を力に政策提言2024(第一次案)を提案
― 広島県・中小業者支援団体との個別会議 ―
小規模企業・家族経営者が希望を持って事業を続けられる広島県へ
広島県商工団体連合会は広島県中小企業・小規模企業振興条例に基づく中小業者支援団体であり、2019年から毎年秋に広島県と個別会議を開催し、政策提言を行っています。
10月10日、7回目となる広島県との個別会議を広島民商で開催しました。3年連続で取り組み700名から回答を得た営業動向調査2024の第一次集約(9月30日まで)を力に小規模企業・家族経営者の置かれている状況を「政策提言2024(第一次案)」としてまとめ広島県に提出し、懇談しました。
懇談の様子は同日夜の広島ホームテレビでも報道されました。
民商・県連からは13名が参加。広島県からは商工労働局商工労働総務課から藤原課長をはじめ4名が参加しました。
坂井会長は「私たちの政策提言は、小規模企業、家族経営者の声をより反映させたものとなっています。仲間の声を受け止め、広島県経済の発展のため、中小業者、小規模事業、家族経営者への必要な支援について深めていただきたい」とあいさつし、藤原課長に政策提言2024を手渡しました。
直接支援について
<政策提言>
①小規模企業・家族経営者への直接支援
②県内自治体が実施する支援制度への財政支援
③賃上げ助成について藤原課長は、「価格転嫁推進のためのパートナーシップ宣言の構築と普及等により、小規模企業・家族経営者の経営基盤の強化を図る」「地方創生臨時交付金の増額は国へ要望している。県独自の恒久的な支援としては財源確保が難しい」「賃上げ助成については国の助成金への県独自の上乗せを昨年7月に創設。融資で支援している」と回答。
〝払える時給を超えている〟
広島民商の四郎田副会長は「物価高騰がすさまじく、食用油が2倍となり、牛肉も倍くらいの値段となり、やむなく昨年6月に十数年ぶりに値上げに踏み切りましたが、物価高騰に見合う価格転嫁とはならず、値上げした翌週にはさらに仕入れ値上げの案内が来るという状況。最低賃金の引き上げによる賃金上昇も弁当屋が払える時給をオーバーしていると思います。小規模事業者への支援を検討してもらいたい」と状況を伝えました。
藤原課長は「価格転嫁ができていない企業が多数あることは把握しており、経営が厳しい状況にあることも把握している。小規模企業にどのような支援ができるかを考えていきたい」と話しました。
三次民商の高橋さん(運送業)は「必死の経営努力は続けてきましたが、物価高騰、エネルギー価格の高騰により廃業となりました。小規模事業者への支援があればと思いました。全部が上手くいく支援はないとは思いますが、自分のような廃業を生まないためにも必要な支援をお願いしたい」と思いを伝えました。
賃上げにはパッケージでの支援が必要
寺田事務局長は「私たちの政策提言は小規模企業・家族経営者に特化したもの。現在の状況は物価高騰により売上は維持できても利益が減っている状況にあり、三次市や三原市は売上減少を要件としない支援制度を作りました。こうした自治体独自の施策のためにも支援が必要です」と要求しました。
賃上げ助成については岩手県、徳島県が行っている助成制度を紹介。他県の賃上げ助成制度の利点を生かし、価格転嫁困難な事業者への直接支援を加えたパッケージでの支援により小規模企業も賃金が上げられる支援を求め、藤原課長は「貴重なご意見をいただいたと思っています。他県の施策も調べ、検討していきたい」と答えました。
金融支援
金融支援については、「国の中小企業活性化パッケージNEXTで中小企業者等の事業再生や経営者の再チャレンジの支援については債務削減を含めた抜本的な再生手法による支援に移行していくというメッセージが出されており、金融機関への要請が行われている。広島県として、国の方針に応じて経営者の再チャレンジが行われやすい環境が醸成されるように後押ししたい」「広島県の人口流出を防ぐために起業しやすい環境になり人口流出を防ぐという観点は非常に重要なこと」と回答。
広島民商の会員からは、過去に受注工事の貸し倒れにより、やむなく破産となったものの、再チャレンジにあたっては銀行から融資を受けることができない期間が続いたものの、プロパーで融資を受けることができた経験が紹介され、「私自身の再チャレンジの経験で、これから再チャレンジする人に向けて、起業する人に向けて少額でもいいので融資を受けられる仕組みがあればいいなと思う」と要望しました。
インボイス制度について
インボイス制度については記述欄にも反対の声が多く寄せられ、個別会議でも「インボイスを発行できない免税事業者の経営悪化が懸念される、制度の周知が不十分であるという意見は承知している」と広島県からの回答がありました。横畑副会長は「インボイスは分からないという声が多い。私は取引の関係でインボイスは登録せざるを得なかった。請求書を送ったりする実務も大変」と話し、藤井副会長は「免税事業者でインボイス登録業者は来年には今年の4倍の消費税を払わないといけない。周知するとか円滑な運用ではなく、広島県の事業者を守る立場から国に言わないと中小業者がいなくなってしまう」と仲間の思いを届けました。
社会保険料の負担軽減
社会保険料の負担軽減については、三次民商の作田事務局長から社会保険料負担の実態、国保税が高すぎて払えない実態が紹介され、「営業動向調査には、消費税に次いで社会保険料を下げてもらいたいという声が上がっている。とにかく税金が高すぎるというのが仲間の声であり、私たちの政策提言を生かしてもらいたい」と要望しました。